ボロアパートでの暮らしがあったからこそ

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今日でボロアパートを引き払い、アパートの持ち主に鍵を返しました。

これで、私の帰る場所はここだけになりました。

 

アパートの持ち主が検査に来る時間まで、他の用もあって1時間ほど前から室内で待っていました。

その間、何にもなくなってガランとした所で一人、ここで暮らした30年を振り返って、あれこれ思い出していました。

引っ越してきた当初、娘はまだ2歳

 

敷いていたカーペットをめくると、畳に残っていたのはブランコの跡

知り合いにもらったブランコをこの部屋に置くと、娘は部屋いっぱいに揺らして遊んでいました。

 

押し入れの上段に残っていたのは、娘が幼い頃にしていた内職のペンキの跡

娘が寝るのを見計らってヨシと内職を始めるのはいいけれど、仕事の種類によっては全然はかどらないものもあって、白々と空が明るくなることもありました。

 

足を伸ばして入れない正方形の深いお風呂

こんなお風呂でも、うちにお風呂があることはありがたい限りでした。

 

薄汚れた壁の色が気になって、娘と一緒に白いペンキを塗った壁

壁の色が白くなっただけで喜んで、二人で達成感を味わっていました。

 

毎年恒例、年末には必ずワックスをかけてピカピカにしていた床

今でも顔が写るぐらいピカピカです。

 

狭いけど日当たりだけは抜群のベランダ

ここにラティスフェンスや棚を設置して、たくさんの野菜や花を植えて楽しんでいました。

 

低くて狭いキッチンでたくさんのおかずを作っていた私

レンガの壁紙は100均です。

お湯も出ない水道で、ガスコンロの上には瞬間湯沸し器

最後の半年は瞬間湯沸し器も壊れたまま放置していたので、今年の冬の食器洗いは氷のように冷たい水でした。

 

玄関横の換気口

初夏になるとツバメが巣をかけに来るこの場所では、卵からひながかえる姿を見届け、無事に巣立っていく姿を見届けました。

フンの掃除が大変でしたけど。

 

このアパートに入居が決まった30年前

初めて開けた鉄の玄関ドア

一歩踏み出し室内を見渡した時、あまりの汚さに愕然としながらも、次第に娘と私のお城になっていきました。

「ただいま」と言って元気に学校から帰ってきた娘ももういません。

 

アパートの持ち主は時間通りにやってきて、難なく検査も終了

私が負担する修繕箇所は一間の畳の表替えだけ

それも入居時に私が納めていた敷金からまかなえるそうで、お釣りも来るそうです。

ちょっとしたお小遣いになりそうです。

 

検査が済むと、アパートの持ち主が電気のブレーカーを落とし、ガスと水道の元栓を止め、新聞受けや郵便受けに私宛のモノが届かないようにガムテープで封をして、玄関の鍵を閉めました。

もうここは完全に私のお城ではなくなりました。

 

帰りしな、管理人さんが私を呼ぶ声が聞こえたので振り返ると、ゼイゼイ息を切らしながら餞別を持って駆け寄ってきてくれました。

ここまでブログを書いていて、ふと私は今、まだあのボロアパートにいるような錯覚を覚えましたがそうではありません。

 

今日の夕ご飯

あれこれ野暮用を済ませてから帰宅したので、夕ご飯は残り物をレンチン

同じものを食べても美味しく感じるこの家での暮らし

 

だけど、今の暮らしがあるのはボロアパートで過ごした30年があったからこそ

戸建に住む人と集合住宅に住む人では、回ってくる回覧板も違うと聞きます。

これからは、ご近所づきあいの範囲も今までより広くなるでしょうが、だからといって昔を忘れないようにしようと思いました。

 

ボロアパートを後にして、30年の思い出が走馬灯のようにぐるぐる回った日

今日のブログは、私自身のために大事にとっておきたいと思います。